高橋まつりさんは、日本の労働問題、とくに**長時間労働や過労死(過労自殺)**の象徴的存
在として語られる方です。電通での出来事から約10年が経った今も、彼女のケースは社会に
大きな影響を与え続けています。
高橋まつりさんとは
**高橋まつりさんは、1991年生まれ。東京大学卒業後、2015年4月に日本最大級の広告会社である電通**に新入社員として入社しました。
電通での長時間労働と自殺
入社後まもなく、高橋さんは月100時間を超える残業を含む過酷な労働環境に置かれました。
SNSでは、
「眠りたい」
「死にたいと思いながら働いている」
といった切迫した言葉を残しており、心身ともに追い詰められていたことがうかがえます。
2015年12月25日、東京都内の社員寮から転落し、亡くなりました。享年24歳でした。
労災認定と電通の責任
2016年、厚生労働省はこの件を過労自殺として労災認定しました。
その後、電通は違法な長時間労働を行わせていたとして、2017年に労働基準法違反で有罪判決を受けています。
社会への影響と「働き方改革」
高橋まつりさんの死は、日本社会に大きな衝撃を与えました。
長時間労働の実態が広く可視化された
「過労死」「ブラック企業」という言葉が社会問題として定着
政府主導の働き方改革が本格化
2018年には、残業時間の上限を法的に規制する制度(いわゆる働き方改革関連法)が成立しま
した。
母・高橋幸子さんの活動
高橋さんの母・幸子さんは、娘の死後、
過労死防止の啓発活動
若者や企業への講演
国への制度改善の訴え
を続けており、「同じ悲劇を繰り返さない」ことを強く社会に問いかけています。
10年経った今の意味
電通事件から10年が近づく現在でも、
長時間労働
メンタル不調の自己責任化
若手社員への過度なプレッシャー
といった問題は完全には解消されていません。
高橋まつりさんの事例は、**「働くことが命を脅かしてはならない」**という原点を、日本社
会に突きつけ続けています。
現在の日本の過労死・過労自殺の状況
日本における**過労死・過労自殺(業務に起因する精神障害・自殺を含む)**の状況について
、最新の統計や社会的な傾向を整理しました(2025〜2026年現在の状況)。
📊 1. 労災認定(過労死等)の件数
過労死等の労災認定数(令和6年度=2024年度)
過重労働やストレスによる**「過労死等」労災認定数は1,304件**で、過去最多を記録し
ました。
うち、精神障害(うつ病など)による認定が1,057件と大半を占めています。
その中には自殺・自殺未遂も89件含まれると報告されています。
👉 これは、脳・心臓疾患による典型的な過労死に加えて、メンタルヘルス不調が大きな割合
となってきていることを示しています。
📈 2. 精神障害関連の労災請求が増加
過労死等の中でも「精神障害」による労災請求件数や支給決定件数は近年急増傾向です。
令和2年度から令和6年度の約5年間で、精神障害による請求件数は大幅に増加。
労災支給決定件数も過去最多(1,055件超)となりました。
👉 長時間労働だけでなく、職場のストレスやパワーハラスメントなどが精神面の健康被害に
つながっていると考えられています。
📉 3. 長時間労働と企業の実態
労働基準監督署による監督指導では、調査対象の多くの企業で違法な時間外労働が確認
されています(2024〜2025年度で約42%の事業場)。
違法な残業や健康障害防止措置の不備が判明しており、長時間労働の実態は依然として
根強いです。
📌 4. 社会的な文脈と傾向
労働時間の規制・働き方改革
2019年の働き方改革関連法以降、法の整備や規制強化が進んでいますが、過労死等の
防止は依然として大きな課題です。
過労死・メンタル健康への関心
精神障害による労災支給が増えている背景には、労働者が心の不調を訴えやすくなった
ことや、企業・社会の意識変化も影響しています。
🧠 過労自殺について
厚生労働省の統計で「自殺」だけを直接集計するものはありませんが、精神障害労災の
一部として自殺・自殺未遂が労災認定ケースに含まれていることが確認されています(
89件)。
自殺については、長時間労働・職場のストレス・パワハラなど複数の要因が絡むと考え
られ、国内外の研究でも関連性が指摘されています。
🧩 まとめ:2026年現在の過労死・過労自殺の特徴
1) 過労死等の労災認定は過去最多水準
→ 特に精神障害・心の不調を原因とする事例が突出して増えています。
2) 自殺を含む労災認定も一定数存在
→ 職場のストレスとの関連が認められるケースが確認されています。
3) 長時間労働は法律規制が強まった一方で、実態としてまだ根強い
→ 企業の違法残業や健康対策の不備も指摘されています。
4) 社会的な認識や支援制度は進展中だが、解決には時間が必要
→ 統計上は増加傾向でも、労働者支援や企業体質改善は続いています。
産業別の傾向
日本の**過労死・過労自殺(労災認定)については、産
業別の傾向にも特徴が見られています。これは厚生労働省が公表する「過労死等の労災補償状
況」ならびに関連分析から最新の業種ごとの動向(令和6年度=2024年度)**を整理したもの
です。
📊 産業別(大分類)での傾向(令和6年度)
🔹 労災請求件数(過労死・過労自殺など)
請求(労災申請)の件数が多い順は次の通りです。
運輸業・郵便業
→ 長時間労働や交代勤務の影響で請求件数が最多。道路貨物運送業が特に多い。卸売業・小売業
→ 販売・配送などで労働負荷が大きい業種。建設業
→ 体力的負荷に加えて長時間労働が問題に。
🔹 労災支給決定件数(認定されたケース)
労災として「支給決定」された件数が多い業種は次の通りです。
運輸業・郵便業
→ 請求、支給決定とも最多。宿泊業・飲食サービス業
→ 不規則な勤務・長時間勤務が認定につながるケース。製造業
→ 技術職・組立など業務負荷の高い仕事が多い。
📌 業種別の背景・特徴(精神障害事案)
令和6年度のデータでは、精神障害(うつ病など)による労災認定事案が1,000件を超え、その
中でも業種別でも傾向が見られます。「医療・福祉」が最も多いとの分析もあります。
医療・福祉
→ 精神的ストレスや夜勤業務、緊急対応負荷などが背景として見られるケースが多く報告されています。
製造業
→ 生産ラインの責任や業務負荷が影響する事例が認定されやすい。卸売・小売業
→ 顧客対応や納期重視の勤務形態が長時間・高ストレスの要因となる。運輸・郵便業
→ 物流のスケジュール厳守やドライバーの長時間労働が繰り返し認定されている。
📈 なぜ産業で差が出るのか?
産業別の傾向が生まれる背景としては、次のような業務の性質が影響すると理解されています:
✅ ① 長時間・不規則勤務
運輸・小売・飲食などでは長時間勤務や夜間シフトが常態化しやすい。
✅ ② 精神的負担の大きさ
医療・福祉は患者対応などでストレス要因が高く、精神障害としての労災認定が多い傾
向。
✅ ③ 職場の人間関係・ハラスメント
職場環境要因(パワハラ・職務内容変更など)が精神障害事案で大きな割合を占めるこ
とがある。
✏️ まとめ:産業別の過労死・過労自殺傾向(2024年度)
👉 これらの傾向を見ると、長時間労働だけでなく「精神的負荷の高い業務」「人間関係・ハラ
スメント」など複合的な要因が、業種ごとに過労死・過労自殺リスクにつながっている可能性
があることが分かります。
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